【めがね】感想
「この海には何かあるんですかねー」
「さぁー」
「何にもないかなー」
「・・・何か欲しいんですか?」
何もない。
理由がない。
ただあるだけ。
それも、それで、いいのだ。と気づかせてもらった。
人は、理由をつけたがる。
人は、答えを欲しがる。
かもめ食堂でも出てきた大きなスーツケース。
荷物がぎっしり入ったスーツケース。
どちらも、行方不明になるか置いていくか場面は違えど、『手放す』
めがねでは、「必要だろものを持ってきた」と言った。
かもめでは、中に何が入っていたかすら思い出せなかった。
でも、どちらも「手放したけど別に困らなかった」のである。
私たちは毎日生きていると、執着や思い込みでたくさんの『荷物』を持っている。
自分が必要だと思っているその『荷物』は、なくなっても困らないものばかりかもしれない。
人は生まれた時にゼロから始まっている。
だから、ゼロに戻ったところできっと何も困らないのかもしれない。
かき氷は物々交換。
「いくらですか?」と聞いた時の、不思議がる顔。
お金は当たり前ではないのだ。
お金が基準ではない。
黄昏る。たそがれる。
黄昏かたを知らない主人公。
黄昏たことのない主人公。
黄昏の良さを知らない主人公。
徐々に黄昏ることが日常になっていく。
この映画は、現代人にはそんな時間が大切なんだと教えてくれる。